【大川の家の中に作る箱】
大川の家は、内外の境界を意識したスキップフロア構成の住宅です。このデザインは、パブリックエリアとプライベートエリアを明確に分けつつも、内部同士や外部とのつながりを強調し、広い解放感を提供しています。またスキップフロアは独自のコミュニケーションを生みやすく、この家ならではの家族の関わり合いが可能となっています。
【中と外のつながり、中と中のつながり】
リビング、ダイニングキッチンなどのパブリックエリアは、家族や友人との交流が生まれる場所です。ダイニングキッチンがある1階の南北は植栽でゆるやかなプライバシーを作りながら、すぐ先で行き止まりになる生活道路側に大きな窓を用いて外に向けて開いています。その1階とつながるようにスキップフロアでリビングとつながっています。ダイニングキッチンとリビングのつながりは基本的に斜めの視線となり、1.5階への視線のその先に窓を設けることで空へと視線が抜けていきます。さらに1.5階にあるリビングは2階のラワン合板で包まれた「家の中に作る箱」の個室とつながっています。
【未来を見据えたセミオープン空間】
パブリックエリアとプライベートエリアを明確に分けながらも、つながりを持たずにいるとどの時期においても個室は個室にしかならないと考えています。大川の家では子供室の一部をリビングとつながるように開口が設けてあり、そこには透明なアクリルが嵌っています。まだお子さんが小さい頃はそのままで、大きくなって個室として必要なときにはロールスクリーンを付ければプライベート空間になります。そしてさらにその先にはお子さんが独立し、子供室自体が不要になる時が来ます。通常の閉じた子供室の場合はそのまま誰かの部屋になるか、納戸になるかの選択肢しか残っていないと思います。しかし最初につなげていることで、リビングに隣接した書斎になったり、セカンドリビングになったり、置き畳を置いて簡易な和室にしたり。プライベートエリアだった個室がパブリックエリアの一部になることも可能となります。もちろんそのまま個室として活用したり、納戸にしたりすることも可能です。
【家族の状況に柔軟に対応できる】
住宅は時期や家族の状況に応じて部屋の要求が変わるものです。そのため、ある程度柔軟性が求められます。
大川の家は拡がりを持たせるために外と中、中と中など様々な視線のつながりを作っている家です。その中で子供室も家全体の拡がりに寄与しつつ、家族の状況に柔軟に対応できる状況を作った、ある種合理的な住宅になります。必ずしも子供室をリビングなどに開放したほうがいいということではありません。理想の住まい方の中で、普段閉じているものを開放するということひとつの選択肢ということを知っていただきたいと思います。
【まとめ】
家の中に作る箱の構成で拡がりを、セミプライベート空間という要素で柔軟性を持った住宅になっています。分譲住宅や規格住宅のような他の人が考えた暮らし方ではなく、僕らと行う注文住宅は、自分が暮らしたい暮らしを住宅という形にすることを目指しています。そのお手伝いが出来たら嬉しいと思います。
※理想の暮らしのイメージがまだないという方も、潜在的になにかしらお持ちだと思いますので、打ち合わせの中でコミュニケーションを取りながら一緒に探していけたらと思います。
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