東味鋺の家
house
包まれる家族の居場所
名古屋市の住宅街に計画したこの住宅は、200㎡の広さを持ちながら、境界線近くに隣家が建っているため隣地からのプライバシーの確保を前提とした住環境が求められた。家族の要望である「駐車場3台」「デッキのある庭」、「効率的な家事動線」を満たすように、東西方向に広げつつ駐車場になる北側と、庭になる南側のスペースを確保するところからスタートした。プライバシーを含む住環境、要望を考慮した結果外観で現れている通り、キッチン棟、リビング棟、水廻り棟の3棟構成とした。東西の隣家からの視線や音はキッチン棟、水廻り棟で遮り、南北は玄関や可動間仕切りを持つタタミコーナーによって視線や音から距離を取っている。またリビング上部には個室をのある2階があり、リビングダイニングは東西南北、上部の異用途に包まれた空間となった。守ると同時にキッチン棟、水廻り棟へアプローチするためのアーチ開口の象徴性、リビングダイニングよりも明度の高い仕上げを施すことで、自然と視界に入り住宅の拡がりに寄与する側面を持たせた。南北は一体的な使い方、統一の仕上げとし、リビングダイニングに入った瞬間から床、天井の目地の助力も借りて、南へと抜ける視覚的な直進性を持たせ拡がりを感じ、陽の光の共有、風の抜けを行うことができる空間となっている。ご家族の理想の暮らし方、人柄から家族がコントロールできないことを気にかけて暮らすのではなく、自由に伸び伸びと暮らしてほしいと感じた。守ることへの距離感と方法、そこに対して関係性と拡がりを慎重に考えることで、それが実現できたと思っている。
完成:2023年
所在:愛知県名古屋市北区
用途:戸建住宅
構造:木造2階建て
建築面積:62.65㎡
延床面積:105.81㎡
写真:植村崇史写真事務所 植村崇史 (遠景:border design architects)
動画:M&K 杉浦元紀(プロデユース) + 澤野啓二(カメラ)